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AIFチーム

2020.03.09

【ワイヤーエキスパート】エイリアンクロストーク測定

ツイストペアで伝送を行うイーサネットのシステムがより高速化しています。10GBASE-Tでは4P内のノイズの規定だけではなく、他のチャネルから進入するノイズ(エイリアンクロストーク)に関する規定が取り込まれています。エイリアンクロストークとは、複数のLAN ケーブルを並列して敷設した場合に、隣接するケーブルから受ける (隣接するケーブルへ与える) ノイズのことをいいます。銅線などを用いて電気信号を伝送する場合に、複数の信号線が平行した経路を取っていると、互いに電磁的な影響を及ぼし合うことになります。4対の信号線を持つ LAN ケーブルにおいては、1対ごとにケーブルを撚る (ツイストする) ことでこの影響を緩和しています。さらに、Cat.6 以上のケーブルでは、十字介在 (4対を1対ごとに区切るセパレータ) を挿入し、対同士の干渉を防ぐ手立てで強化されています。

 しかしながら、伝送する信号の周波数が高くなると、同じケーブル内にある別の対との干渉だけでなく、隣接する別のケーブルとの干渉 (エイリアンクロストーク) も無視できなくなります。1000BASE-T では 100MHz までの信号を伝送できればよかったのに対し、10GBASE-T では 500MHz までの信号を伝送する必要があり、エイリアンクロストークへの対策が必要になっていきます。

 さて、実際の測定になりますが、一般的にエイリアンクロストーク測定は非常に時間がかかります。それは、別名シックスアラウンドワンといわれるように、1本の測定対象のケーブルに対して周囲の被測定対象の6本のケーブルがそれぞれにどのように1本の測定対象のケーブルに影響を及ぼしているのかを確認しなければいけないためです。下のイメージは実際に測定する際のイメージになります。まずは近端側を測定します。各ケーブルの末端に終端抵抗を設置した上で、1本づつ測定します。測定後は、ノートPCを用意して計算する必要があります。次に、遠端側でも同様の作業を実施します。その際、測定器同士を繋ぐケーブルが必要になります。このケーブルは測定対象になっているケーブル以上の長さが必要となります。このようにして、作業を進めると、作業時間が約45分から1時間かかってしまうのが現状です。