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AIFチーム

選ばれた理由

GM200を選ばれた理由を教えてください

2021年、通信関連の研究機関が、所有する電波暗室でローカル5G実証実験を実施された際、基地局側の設備システムの一つとしてGM200が使われていました。その後、自社でPTPの同期システムを組むことを検討した際、常設ではなくシステムを利用する際に移動・組み上げをするため、非常にコンパクトで使いやすそうだったことを思い出したので、同じ機器を選んだ次第です。

使い方

グランドマスタークロックをどのようにお使いになっていますか

私は無線/有線の通信ネットワークの研究開発をしています。開発の中で「通信路での遅延を計測したい」ことがあります。単純には送信時の時刻と受信時の時刻を記録し、引き算すれば遅延時間は測定できるのですが、記録した時刻がきちんと同期していないと、正確に測定することができません。

一方、この同期の問題を回避するために、ping 等で片方向ではなく往復での時間を測定し、2で割ることもあります。通信制御が上り/下りで対象であればこれでもあまり問題ないように考えますが、最近の5G等は上り/下りでの制御が非対称で上り/下りで遅延時間が異なり、片方向の遅延を正確に測定したいニーズがあります。また、通信方式の高機能化に伴い、様々な制御の時間スケールが短くなっており、その動作の様子を知るには、高精度の測定が必要になります。

そこで、PTP での同期を使い、さらに、タイムスタンプをソフトウェアではなくハードウェアで付与することを行っています。実際に、ソフトでのタイムスタンプではジッタで見えなかったものが、ハードのタイムスタンプにより見えてくるなどがあります。肝になるのは、PTP 対応 NICです。今回はIntel 社製 I225 Ethernet Controllerを搭載したものを使っています。現状、パケットのキャプチャ(受信)に利用していますが、TSN 的には送信時の制御にも使えるようですので、使いこなせれば、様々な実験等に役立てることができるのではないかと考えています。

PTPを利用した実験が必要とお考えになったということですね。

これまではソフトウェアでタイムスタンプを付与していたため、数ミリ秒程度の誤差を想定していました。ところが、5G・ローカル5Gでの遅延測定では10マイクロ秒程度の誤差でないと、正しい測定ができないと考えています。理想は、100ナノ秒レベルです。それらに対応する意味でも、PTPを利用した実験系が必要と感じた次第です。今後の無線通信の研究開発目標の一つとして、NTTドコモの「6Gで目指す要求条件」には、「E2Eで1ms以下程度の超低遅延」が挙げられています。これまでのような測定方法では、測定誤差が1ミリ秒を超えてしまうことも想定されるため、正しく測定出来ないと認識しています。このため、今後は今回のような測定方法を利用しないと遅延測定ができなくなると認識しています。

実際の導入

GM200を実際に導入してみていかがでしたか

特に問題なく使えています。少し気になったのは、ブラウザのUIでGM200を設定したのですが、設定を反映するボタンをクリックすると、設定が反映され設定通りに動作します。しかし、別にある保存ボタンをちゃんと押していないと、設定が保存されておらず、電源を切ると設定前の状態に戻っており、そこで苦労したのを覚えています。他は特に問題ありませんでした。

目的との合致

目的に合っていましたか

遅延は、ネットワークシステムの制御や混雑状況等に依存します。一方、5G・ローカル5Gでは通信制御の関係上、上りと下りで遅延の特徴が異なります。通信ネットワークの2点間でのパケット送信片方向遅延を測定したいと考えています。その意味では合っていたと考えています。

今後の検証予定

今後の検証予定を教えてください

研究開発を進める中で、高精度な片方向遅延を測定する際には、GM200を使っていくことになります。

今後の期待

今後、私共の製品に期待することはありますか

 測定を電波暗室内で行う場合、電波暗室内ではGNSSが入りません。今回のようなネットワークの遅延測定では、GNSSの絶対時刻に合わせる必要がなく、相対的で高精度な時間に同期すれば良いので、ルビジウム発振器のような高精度な発振器を接続し、GNSSなしで稼働するような機能や設備があれば、より助かります。

本日はどうもありがとうございました

【 参考 】

-ローカル5Gの端末~A~基地局~B~サーバー間の通信遅延を測定
-GM200→TSNスイッチ→タイムスタンプをA・Bに送る
-ミラーリング後、流れてきたタイムスタンプを打ちながらポケットキャプチャー
-結果、数百ナノ秒のオーダー

〇GM200を使った検証の構成
■使用機材
・PTPグランドマスターGM200
・PTP対応NICを複数持ったPC
・HUNSN RM02k(インテルI225-v×6ポート) 
・ミラーリング可能スイッチ
・NetgearGS305E

■手順
①準備:ハードウェアタイムスタンプのサポートしているNICかの確認
②NICの確認
③NICのクロックをGM200に同期させる
④パケットをキャプチャー

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